この施設は、旧中村美術館の老朽化と重要文化財を含む美術館の収蔵能力の拡大及び火災防犯面から耐火構造の美術館建設の要望を受け、また本多の森の中で美術・文化ゾーンの形成をなすべく、周辺整備とともに計画された。内部は低く押えられたエントランスからアプローチして1階ホール~吹抜・階段~2階展示ロビーを外部の坪庭とともに広い一体感のある空間とし、それを中心に各室を配置した計画とし、空間的なおもしろさと豊かさを意図している。この空間を覆う屋根は、最大24mの流れ長さの瓦葺で、かつ3寸勾配と緩く、周辺に対して威圧感のないよう配慮した。外壁は用途的に大きな壁面を持つことと反面、瓦葺の和風建築に対して新たな試みを意図し、全面50二丁掛タイル貼とした。色調は周囲の緑、瓦の銀黒、金沢の空のイメージのグレー等を苦慮し落ち着いた雰囲気となるよう決められた。