この建物は、金箔の卸しを商売にされている今井金箔の本社屋である。基本コンセプトからすると、商売柄当然和風の建物を連想してしまうが、この場合はあながちそれにあてはまらない。この建物の外観は「金沢」の地名からくるゆるやかに流れる川の如く、やわらかくしなやかな曲線で構成されていて、移りゆく時代の流れの中でさらに躍進し続ける企業の姿をデザイン化したものである。
店舗という性格上、建物は歩道に近接して配置されているが、1階と3階がセットバックしているため、歩道を歩いても圧迫感がなく、建物と歩道の間には程よく植栽も設けられ、ポケットプラザには歩行者の目を和ませてくれるオブジェも設置されるなど、親しみのある中間領域を構成し、周辺の町並みに良く溶け込み魅力ある都市景観を形成している。