県下第1号の民放テレビ局である北陸放送が本社の立地として選んだ現在地は旧前田藩の筆頭家老であった本多家の屋敷跡であり、幽すいな回遊式庭園が小立野大地の深い緑を背にして、ひろがり都心部に独特な環境を誇る場所であり、また前面道路は金沢を代表する県下の文化、学習、福祉の諸施設が軒をつらねている基幹路線である。
まず兼六園周辺の文化ゾーンの一連に当時の先端メディアの拠点としての表現にこだわったのは、周辺の貴重な自然にとけ込む手法として、出来るだけ高さをおさえ、和の風格を強く表現したいと願い、深い庇と縦のラインを強調したシンプルな壁面に特徴づけたつもりである。